負けをネタにする文化は何を救うのか - 養分番付をつくった理由

カモログには、その月に公開された負けの合計がいちばん大きい人が上に載る「養分番付」があります。勝った人を称えるランキングなら珍しくありませんが、負けた人が上に来るランキングは珍しいはずです。なぜこういう機能をつくったのかを書きます。

収支の共有は、放っておくと勝ち報告だけになる

パチンコやパチスロの収支を人に見せる場所では、ほとんどの投稿が勝った報告になります。 勝った日は見せたくなり、負けた日は黙っていたくなるのが自然だからです。

その結果、そこに並ぶ情報は現実よりずっと明るくなります。実際には負けている人のほうが多いのに、 見えるのは勝った人ばかり。これから打つ人や、負けが続いている人がそれを見ると、「みんな勝っているのに自分だけ負けている」と感じてしまいます。

負けを隠す場所では、負けを直視しにくい

負けを誰にも言えない状態は、負けを自分の中だけで抱えることになります。 抱えた負けは「なかったことにしたい損失」になり、取り返したい気持ちにつながりやすくなります。

反対に、負けを口に出せる相手がいると、負けは少しだけ軽くなります。「3万負けた」と言って、「それはきつい」「わかる」と返してもらえると、 負けを一人で埋め合わせようとしなくて済みます。 負けを記録する意味でも書いたように、 負けを隠さないことは、負けを正しく把握することの入り口です。

だから負けに「居場所」をつくった

カモログは、勝ちと同じ重さで負けを置いておける場所を目指してつくっています。そのための仕組みがいくつかあります。

  • 養分番付 — その月の公開された収支のうち、負けの合計で並ぶランキング。 負けが大きいほど上に載ります。月が変わればリセットされます
  • 「わかる」リアクション — 投稿に付けられる反応は「いいね」と「わかる」の2種類です。 「わかる」は主に負けた投稿への共感として用意しています
  • 負けの大きさに応じた表示 — 記録した収支は「かすり傷」「重傷」「爆死」のように、金額に応じた呼び名で表示されます

負けを「恥ずかしいもの」から「話せるもの」に変えるために、あえて笑える形にしています。

笑いにすることと、負けを勧めることは違う

負けをネタにする機能は、負けを推奨するためのものではありません。養分番付の上位を目指して打つことは、この機能の目的と正反対です。

負けを笑える場所があることの価値は、負けを正直に出せるようになることにあります。正直に出せれば、自分がいくら負けているのかを知ることができ、 知ることができれば、予算を決めたり、打ち方を変えたり、やめたりする判断ができます。笑いは、そこに至るまでのハードルを下げる道具です。

また、自分の負けを自分でネタにすることと、他人の負けを笑いものにすることは別です。 カモログでは自虐の表現は制限していませんが、他人を攻撃する投稿は認めていません。

線引きはどこにあるか

「負けを笑う」と言っても、何でも許されるわけではありません。カモログで想定している線引きはこうです。

想定している使い方 対象外
自分の負けを自分でネタにする他人の負けを馬鹿にする
負け投稿に「わかる」と反応する相手を傷つける言葉を送る
自分の記録を公開する他人の情報を勝手に投稿する

気になる投稿は通報できますし、特定のユーザーをブロックして自分のタイムラインから消すこともできます。 笑える場所であるためには、笑われても平気でいられる範囲を保つ必要がある、と考えています。

番付に載りたくない人へ

養分番付に集計されるのは、公開された収支だけです。非公開で記録した収支は載りません。 負けを誰かに見せるかどうかは、それぞれが決めることです。 仕組みの詳細は養分番付とはと 公開範囲の設定にまとめています。

そして、笑い話にできないほど負けが生活に影響しているなら、それは番付の話ではありません。 のめり込みのサインと、相談できる窓口を読んでください。