勝率は高いのに負けている人の収支の形 - 回収率と勝率がねじれるとき
「最近よく勝っている」と感じているのに、月末に振り返るとトータルでは負けている。こういう収支は珍しくありません。原因は、勝率と回収率がまったく別の指標だからです。
勝率と回収率は何を数えているか
- 勝率 — 記録した実戦のうち、収支がプラスだった回の割合。金額は見ていません
- 回収率 — 投資した金額に対して、いくら戻ってきたかの割合。100%を超えていればプラス収支です
勝率は「何回勝ったか」、回収率は「お金がどれだけ戻ったか」。この違いが、ねじれの正体です。
勝率70%で負けている収支を分解する
ある人の10回分の記録を、勝った日と負けた日に分けてみます。
| 回数 | 1回の投資 | 1回の回収 | 1回の収支 | |
|---|---|---|---|---|
| 勝った日 | 7回 | 10,000円 | 15,000円 | +5,000円 |
| 負けた日 | 3回 | 25,000円 | 5,000円 | −20,000円 |
合計すると次のようになります。
- 勝率: 10回中7回 = 70%
- 総投資: 10,000円 × 7 + 25,000円 × 3 = 145,000円
- 総回収: 15,000円 × 7 + 5,000円 × 3 = 120,000円
- 収支: 120,000円 − 145,000円 = −25,000円
- 回収率: 120,000円 ÷ 145,000円 = 約82.8%
10回のうち7回も勝っているのに、トータルでは2万5千円の負けです。7回の勝ちで積み上げた3万5千円を、 たった3回の負けで6万円失っています。
この形になる典型的な理由
勝ったらすぐやめ、負けたら粘る
少し浮いたところで満足して席を立ち、負けているときは取り返そうとして投資を重ねる。 この打ち方をすると、勝ちは小さく、負けは大きくなります。勝率は上がりますが、回収率は下がります。 勝ちを確定させたい気持ちと、負けを確定させたくない気持ちが同時に働いた結果です。
負けた日の投資額が大きい
上の例でも、勝った日の投資は1万円なのに、負けた日は2万5千円です。投資額が大きい日ほど負けているなら、 それは「深追い」の記録です。稼働時間も一緒に見ると、 負けた日ほど長く打っていることが多いはずです。
自分の記録で確かめる方法
- 勝率と回収率を並べて見る。勝率が5割を超えているのに回収率が100%を下回っていたら、この形を疑う
- 勝った日と負けた日の、1回あたりの平均投資額を比べる
- 勝った日の平均収支と、負けた日の平均収支の大きさを比べる
カモログの分析画面では、勝率と回収率が並んで表示され、金額帯ごとの内訳も見られます。 勝ちが小さな金額帯に集まり、負けが大きな金額帯に散らばっていれば、このコラムで説明した形です。
逆のねじれもある
勝率が低いのに収支がプラス、という形もあります。10回のうち3回しか勝っていないのに、その3回で大きく勝ち、 負けた7回は小さく収めているケースです。
| 回数 | 1回の投資 | 1回の回収 | 1回の収支 | |
|---|---|---|---|---|
| 勝った日 | 3回 | 20,000円 | 60,000円 | +40,000円 |
| 負けた日 | 7回 | 10,000円 | 2,000円 | −8,000円 |
- 勝率: 10回中3回 = 30%
- 総投資: 20,000円 × 3 + 10,000円 × 7 = 130,000円
- 総回収: 60,000円 × 3 + 2,000円 × 7 = 194,000円
- 収支: +64,000円 / 回収率: 194,000円 ÷ 130,000円 = 約149.2%
この形は、負けを小さく切り上げられている記録です。勝率だけを見ていると「3割しか勝てていない」と落ち込みますが、 収支はしっかりプラスです。勝率は立ち回りの良し悪しを表す指標ではないことが、ここからも分かります。
※ これは指標の関係を示すための例です。この回収率が続く保証はどこにもありません。
見るべきなのは回収率
勝率は気分に直結する数字なので、つい気にしてしまいます。ですが、手元のお金が増えたか減ったかを表しているのは回収率です。 振り返りでは、まず回収率を見て、その理由を探るために勝率や金額帯の内訳を使う、という順番をおすすめします。
回収率とよく似た言葉に「機械割」がありますが、これも別物です。違いは 機械割と回収率の違いで説明しています。